流体力学の「場」と「力」は
「流れ場」「圧力場」「流体力」が挙げられ、
”4つの流体力学のゴール”と言えます。
「場」と「力」と「4つの流体力学」の関係
流体力学の「場」と「力」について、
”4つの流体力学との関係”を表にまとめます。
「流れ場/圧力場/流体力」と「実測実験/各机上計算」の対応付け(簡易表現) | |||
---|---|---|---|
流れ場 | 圧力場 | 流体力 | |
場のカテゴリ | 速度ベクトル場 | 圧力スカラー場 | (場ではない) |
物理量 | u 流速[m/s] [ベクトル量] | p 圧力[Pa] [スカラー量] | F 力[N] (応力の場合もあり) |
1.実測実験 | 流速センサ (ピトー管,PIVなど) | 圧力センサ (圧力計など) | 荷重センサ (ロードセルなど) |
2.管内流れ | 連続の式 (場ではなく準1次元) | ベルヌーイの定理 (場ではなく1つ流線) | 運動量方程式 (場ではなく流体の塊) |
3.ポテンシャル流れ | 3D:ラプラス方程式 2D:複素ポテンシャル | 圧力方程式 | クッタ-ジューコフスキーの定理(揚力) |
4.粘性流体の流れ | 連続の式 (場の連続の式) | N-S方程式 | 流れ場と圧力場の 積分値(揚力,抗力) |
上記の表より、4つの流体力学のゴールは、
「流れ場」「圧力場」「流体力」を、「実測」または「机上計算」する事と言えます。
流体力学の「場」とは?
場とは?
「場」とは、
”空間分布”を見る事です。
このように日常生活の中でも「流速が速い空間」と「流速が遅い空間」があり、
これを「流速の空間分布」=「流れ場」と言います。
いろいろな空間分布
代表的な場を示します。
全ての場が「空間分布」に着目しています。
流れ場 | 圧力場 | 温度場 | ||
流速の空間分布 | 圧力の空間分布 | 温度の空間分布 | ||
地表面の2次元の流れ場 | 地表面の2次元の圧力場 | 地表面の2次元の温度場 | ||
流速の速い空間と遅い空間 | 圧力の高い空間と低い空間 | 温度の高い空間と低い空間 |
より正確に言えば、場とは「時間変化する空間分布」ですが、その説明は後に回します。
「空間分布」と相反する概念「一様な空間分布」
「空間分布」の対義語は「一様分布」です。
「気温の空間分布」 | 「気温の一様分布」 | |
気温は空間分布があることが自然 | 気温の一様分布は、まずありえない |
下記のサーモグラフィーのように日常生活中では、
「温度が一様分布な物」を探す方が難しそうです。
温度場 |
サーモグラフィによる温度の空間分布の実測結果 |
日常生活中の様々な場面で、
たくさん「温度の空間分布」すなわち「温度場」ありそうですね!
「ベクトル場」と「スカラー場」の違い
「矢印で表されるのがベクトル量」です。
ベクトル量 | スカラー量 | |||
「向き」と「大きさ」を持った量 | 「大きさ」のみ持った量 | |||
物理量 : 流速, 加速度, 力, 運動量 | 物理量 : 圧力, 温度, エネルギー | |||
流速 [m/s] (ベクトル量) | 圧力 [Pa] (スカラー量) | |||
向き | 風向き [角度°] | 向き | × | |
大きさ | 流速 [m/s] | 大きさ | 圧力 [Pa] | |
流れ場 (速度ベクトル場) | 圧力場 (圧力スカラー場) | |||
地表面の2次元の流れ場 (風速[m/s]) | 地表面の2次元の圧力場 (大気圧[hPa]) | |||
例:東北東の風 17 [m/s] (風向きと流速を指定している-ベクトル場) | 例:台風の中心気圧は960 [hPa] (圧力のみ指定し向きを指定せず-スカラー場) |
流体力学のゴールは「流れ場」と「圧力場」を求める事であり、
「ベクトル場(流れ場)」と「スカラー場(圧力場)」のどちらも扱います。
流体力学の場とは?
流体力学の「場」は、
特に「時間/空間/物理量の分解能」を上げて現象を観察します。
「日常生活の感覚」と「流体力学の解像度」の違いとして、「分解能」が挙げられます。
学問的になるほど、分解能を上げた「より詳細な物理現象の観察」が重要となり、「時間分解能」「空間分解能」「物理量分解能」を細かくする傾向があります。
「日常生活の感覚」と「流体力学の解像度」の違い(概要)
各分解能 | 日常生活の感覚 | 流体力学の解像度 | ||
“時間”分解能 | 3時間ごと | → | 0.1秒ごと | |
“空間”分解能 | 100km間隔 | → | 1cm間隔 | |
“物理量”分解能 | 流速 1m/s刻み | → | 流速 0.1m/s刻み |
日常生活の感覚 | 流体力学の解像度 | |||
スケールの大きいな空間分布 | スケールの小さい(局所的)な空間分布 | |||
例:全国の天気 | 例:円柱周りの流れ場 | |||
時間感覚 | 3時間ごと | 時間分解能 | 0.1秒 | |
空間感覚 | 100km程度 | 空間分解能 | 1cm | |
物理量感覚 | 風速1 m/s 単位 | 物理量分解能 | 0.1m/s 単位 | |
教室の温度は1つか?
先生!
エアコンが寒いので切ってもいいですか?
教室内で賛否両論が起こる、夏によくある会話ですが、
この揉め事には「1つの設定温度」と「温度の空間分布(温度場)」が密接に関わります。
リモコン | 教室内の実態 | ||
設定温度 (1つの温度) | 温度の空間分布 (無数の温度) | ||
リモコンは1つの温度ですが、同じ教室内でも、空間によって温度が異なります。
このような「教室の中など、比較的小さいスケールにおける局所的な温度の空間分布(温度の空間的な偏り)」を見るのが対流熱伝達です。
札幌と那覇では「気候が異なる」と言う明確な温度の空間分布の依拠がありますが、教室内のような比較的小さなスケールでも温度場は存在し、実際にエアコンを止める/止めないの争いに発展するほど、「細かな温度の空間分布」を観察することは重要です。
流体力学の流れ場とは?
流れ場とは
「時間/空間/物理量の分解能」を上げた「流速の空間分布」の観察です。
流れ場は「連続した空間」について
「流速の速い空間」と「流れの遅い空間」の「分布」に着目します。
より詳細な流れ場は下記の記事で説明しています。
流体力学の圧力場とは?
圧力場とは、
「時間/空間/物理量の分解能」を上げた「圧力の空間分布」の観察です。
圧力場は「連続した空間」について
「圧力の高い空間」と「圧力の低い空間」の「分布」に着目します。
より詳細な流体力は下記の記事で説明しています。
現在記事の準備中
その他の場
その他の場としては、「変形場」「応力場」「温度場」「磁場」「電場」などがあります。
私としては、「全流体力学のゴール」は「流れ場」「圧力場」「流体力」 とまで主語を大きくしたいですが、下記のような例外があり、一旦 “4つの流体力学” に留めておきます。
流体力学の「力」とは?
流体力とは?
流体力とは、
「流体の運動によって物体に働く力の総称」をであり
「揚力」と「抗力」が挙げられます。
流体力は、流体の運動によって物体に働く力の総称です。
より詳細な圧力場は下記の記事で説明しています。
現在記事の準備中
まとめ
流体力学の「場」と「力」は
「流れ場」「圧力場」「流体力」が挙げられ、
”4つの流体力学のゴール”と言えます。
コメント